フィンランド語の方角と太陽の関係とは?

2024/11/28

単語

t f B! P L

ハロー。Yumaです。

皆様、今日も楽しんで語学してますか?

あれだけ暑かった時期が嘘のように、今では底冷えするようになりました。

日照時間もすっかり短くなっています。

この時期の北極圏は一日を通して太陽が昇らない、いわゆる「極夜」になります。

さて、今回は北極圏にかかる国の1つフィランドの言葉から、方角の表現について調べてみたいと思います。


フィンランド語の「東」と「南」

フィンランド語で「東」は、"itä" [イタ]と表現します。

この単語のルーツには太陽との関係が見て取れます。

From Proto-Finnic *itä, from Proto-Uralic *itä- (“to appear”) (中略); the sun rises (appears) in the east.

対訳:フィン祖語のitä、ウラル祖語の*itä-「現れる」から、太陽は東から昇る(現れる)ため。

(参照:en.wiktionary.org/wiki/itä

古今東西、太陽は東から昇ります。沖縄の言葉でも東を「あがり」と読んだり、英語"orient"「東方、東洋」の語源がラテン語"oriens"(動詞"orior"「上がる」の分詞形)に由来したりする例と同じ考えと言えます。

では、フィンランド語の「南」について。「南」は"etelä" [エテラ]と表現します。

このルーツにも太陽との関係があります。

From Proto-Finnic *etelä (“south, southwest”). Equivalent of esi- (“front”) + -lä, named so because dwellings tended to be built facing south (as that is where the sun shines from at noon in northern Europe).

対訳:フィン祖語の*etelä「南、南の」から。esi-「前面」+ - läと同義で、住居を南向きに建てる習慣からこのように名付けられた(北欧では、正午に南から日が射すため)。

(参照:en.wiktionary.org/wiki/etelä

引用中の"-lä"とは、家や土地などの場所を意味する接尾辞なのだそうです。つまり、"esi-" + "- lä"で「前面のところ」というような感じでしょうか。

北欧でなくとも北半球では南向きの方が日当たりの良さから好まれるでしょう。余談ですが、私も物件選びの際に重視する1つがリビングは南向きであるかです。

ただ高緯度の北欧では太陽の高度も低くなりますので、日光を最大限享受するにはやはり南向きがよいでしょうね。


「南」が前面、なら「北」は?

太陽に対し前面が「南」の由来ということは、反対の方角「北」はどうでしょうか。

「北」は"pohjoinen" [ポホヨイネン]と表現します。そのルーツとは、以下の通り。

From Proto-Finnic *pohjainën, equivalent to pohja (“bottom, north”) + -inen.

対訳:フィン祖語の*pohjainënから、pohja「底、北」+ -inenと同義。

(参照:en.wiktionary.org/wiki/pohjoinen

引用中の"-inen"とは対象を形容詞化する接尾辞。ということは、「底の、北の」という意味だと言えます。

とはいえ"pohja"が「底」と「北」という両方の意味を持つのはどういう訳でしょうか。

調べてみると、やはり太陽との関係なようです。

The sense "north" is due to the practice of building dwellings facing south (as that was the direction the sun would shine from at noon in Northern Europe), and thus the far end of a building furthest from the entrance would be situated towards the north.

対訳:「北」という意味は、住居を南向きに建てる習慣から(北欧では、正午に南から日が射すため)、そのため建物の入り口から最も遠い端は北に位置します。

(参照:en.wiktionary.org/wiki/pohja

「南」が太陽に対し前面ならば、反対に「北」は後ろになるわけで「底」と「北」が結び付けられるわけですね。

※ちなみに「北」という意味では現在"pohjoinen"が主流で、"pohja"は詩的な表現や固有名詞における用法です。


最後に

いかがでしたでしょうか。今回はフィンランド語における方角の表現について調べてみました。

東、南、北については太陽との関係が由来から伺えました。

なお本文で紹介しませんでしたが、残る「西」は"länsi" [ランシ]と表現し、こちらは正確な起源が不詳(*lanci「低地」の変種と推測されている)だそうです。

今後も興味深い発見があれば、当ブログで紹介していきたいと思います。

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Yuma
様々なヨーロッパの言語を独学し、日々の学習で得た発見や個人的に興味深い語学ネタを発信しています。外国語学習に疲れたとき、息抜きに読んでもらえれば幸いです。

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