ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
今や日常生活において外来語由来の単語を使用せずに過ごすことは不可能です。
最近では外来語の割合は圧倒的に英語が大きいでしょうが、それ以外の言語由来の単語も古くから使われています。
その1つが、ドイツ語由来の「アルバイト」です。この単語は、戦前期の学生たちが用いた隠語から広まったそうで、当時は学校終わりの学生がする家庭教師を指していたようです。
現代では家庭教師に限りませんが、本業や学業とは別に一時的な労働をするという点では昔から変わらないと言えます。
ドイツ語における本来のアルバイトの意味とは?
戦前の日本はドイツを見本としていたこともあり、現代よりもドイツ語が入ってくる余地が大きかったのでしょう。
「アルバイト」は、ドイツ語では"Arbeit"とつづります。また、その意味は「労働、仕事」であり英語"work"に相当します。
本来の"Arbeit"は労働そのものや本業の仕事を指す語だったのですね。
とはいえ、ドイツ語圏においても日本でいう「アルバイト」のような雇用は存在します。
ではそれをドイツ語圏ではどう表現しているかというと、英語に由来する"Job"が用いられています。
ちなみに"Job"の発音をあえてカナ表記すれば [ジョプ]のようであり、語末の"-b"は「ブ」と濁りません。
これはドイツ語の発音ルールによるものです。
ドイツ語"Arbeit"の語源は、「孤児、奴隷」?
英語とドイツ語は西ゲルマン語群という言語グループに分類され、ゲルマン祖語という共通のルーツから派生した類似の語彙が多く存在します。
例えば、英語"work"はドイツ語の"Werk" [ヴェァク]という語と共通のルーツを持ちます。
ややこしいのが、ドイツ語の"Werk"は「労働、仕事」という意味で用いることは現代では稀で、もっぱら「作品、工場」という用法が主だそうです。
「労働、仕事」を言うには、"Arbeit"を使用した方が間違いないでしょう。
ところで、この"Arbeit"については類似の英語が思い浮かびません。
その語源を探ってみると、意外な英単語との関連性が伺えます。
from Proto-Germanic *arbaidiz, ultimately from Proto-Indo-European *h₃órbʰos (“orphan, servant, slave”), from which English orphan is also derived.
対訳:ゲルマン祖語の*arbaidizから、究極的には印欧祖語の*h₃órbʰos「孤児、召使い、奴隷」から、同源の語に英語のorphanがある。
(参照:en.wiktionary)
なんと英語の"orphan"「孤児」と関連する語と推測されているのです。
"Arbeit"には「労働、仕事」のほかに「苦労、骨折り」という意味もありますが、語源を知ればこの語が持つマイナスな部分がよりはっきりと見えてきます。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は、ドイツ語"Arbeit"について調べてみました。日本で使われる「アルバイト」とは異なり「労働、仕事」に対して使われる単語ですが、その語源を調べてみると思いがけないルーツが分かりました。
今後も興味深い発見があれば、当ブログで紹介したいと思います。