ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
フランス語にlongtemps [ロンタン]という単語があります。
文字列を見ていると何となく意味がみえてくるかもしれませんが、"long"「長い」+"temps"「時」の複合語であり、「長い間」という意味の副詞です。
英語にも"long time"「長い間」という表現がありますが、どちらかからの翻訳借用というわけではなく、偶然おなじ考えから生まれた表現です。
フランス語で「最初の時」とは?
では、「最初の時」という表現はどうでしょうか。
英語では"the first time"が最初の時、転じて「初めて」という意味で用いられます。
一方、フランス語において古くは"prime tans"「最初の時、最初の季節」という表現が、現代フランス語において"printemps" [プランタン]という単語になりました。
"printemps"という綴りになじみが無くても、プランタンという名は聞いたことがある方もいるかもしれません。
かつて東京の銀座にあった百貨店「プランタン銀座」は、フランス・パリに本店がある老舗です。
その意味は、フランス語で「春」です。
昔々、一年の始まりは現代のように1月からではなく4月頃からだったのだそうです。
そのため古いフランス語における"prime tans"「最初の時、最初の季節」が「春」を指す語になったのだと思われます。
なお、フランス語で「初めて」という表現は"la première fois"といい、"temps"ではなく"fois"「~度、~回」を用います。
一方"dans un premier temps"は、「第1段階で、まず初めに」のようにステップの最初を意味する表現です。
現代では使われなくなった「春」
もともとフランス語の祖先にあたるラテン語では、"ver"という語が「春」を意味していました。
これが後期ラテン語の時代になると"primum ver"で最初の春、つまり「早春」という表現を経て、現代イタリア語やスペイン語、ポルトガル語における「春」のルーツとなりました。
いずれも綴りが同じで、"primavera" [伊:プリマヴェーラ]です。
一方、フランス語では先述の通り"printemps"が「春」という意味を担うことになりました。
ただし現代フランス語にも、後期ラテン語に由来する"primevère" [プリムヴェール]という語があります。
今では、「プリムローズ(サクラソウ)」という意味で使われています。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は、フランス語「春」について調べてみました。
なお"printemps"という綴りに対し、"-in-"や"-en-"を「アン」のように発音したり語尾"-ps"を発音しなかったりというのはびっくりですが、フランス語の発音上のルールによるものであり、例外的な発音というわけではありません。
今後も興味深い発見があれば当ブログで紹介していきたいと思います。